Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
一
B
「事実ですってー!」
みのりは涼介の言葉に激怒する。
立ち上がろうとテーブルに置いた手のせいで
皿がガチャリと音を立ててぶつかり合った。
「涼介君の言うとおりじゃないですか」
碧がこちらを擁護するどころかたしなめてくる。
なかなか見る目があるなどと続ける側近に、
みのりは怒りの矛先を隣に座っている彼へ転じた。
「碧、あんたはどっちの味方なのよ!」
わなわなと震える手を握りしめ怒りを露わにしているというのに、
彼は普段通りの何食わぬ顔でこちらを見てくる。
そしてなぜか代わりに涼介が意見してきた。
「碧さんに文句言わないでくれるかな。年下なんだから」
(さっきから碧さん、碧さんってなんなのよ)
一体どういう教育をしてきたのだ。
みのりは雅秋へ三白眼を向けた。
だが、涼介を凝視している彼はこちらの視線など気づかなかったようだ。
「お前、私のことはどうでもいいのか……」
小さく呟かれた雅秋の声から哀愁を感じ、みのりはため息をつく。
(もしかしてこの人、兄としての威厳ないのかしら?)
なんて使えない男なのだろう。
人には偉そうな態度をとっておきながら血の繋がった弟を制御できないとは。
みのりは早々に雅秋を見限り涼介へ視線を戻した。
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