Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
A
「そりゃそうだよ。ここは藤端なんだから」
「それはそうだけど……ねえ、本当にそんなにかかるの?
私、そんなに走れないわ」
当たり前のように語る涼介の言葉に、
みのりは縋る思いで彼を見つめる。
すると、涼介は視線一巡させたあと頭に手をやりながら
深く息を吐き出した。
「……タクシー使おうか?」
「タクシー?
ってなんだ、車持ってないとか言ってたのに専用車があるんだったら
始めからそう言ってよ」
みのりは涼介の提案に飛びついた。
出し惜しみせずに最初から話してくれれば良かったのにと、
彼の背中をバシンと叩く。
「イテ! リムジンじゃないよ。知らないのかい?
……って無理もないか」
そこまで世間知らずのお嬢様ではない。
みのりは涼介に一泡吹かせてやろうと得意気に知っている知識を
披露した。
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