Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




A




「そりゃそうだよ。ここは藤端なんだから」

「それはそうだけど……ねえ、本当にそんなにかかるの?

私、そんなに走れないわ」


 当たり前のように語る涼介の言葉に、

みのりは縋る思いで彼を見つめる。

すると、涼介は視線一巡させたあと頭に手をやりながら

深く息を吐き出した。


「……タクシー使おうか?」

「タクシー?

ってなんだ、車持ってないとか言ってたのに専用車があるんだったら

始めからそう言ってよ」


 みのりは涼介の提案に飛びついた。

出し惜しみせずに最初から話してくれれば良かったのにと、

彼の背中をバシンと叩く。


「イテ! リムジンじゃないよ。知らないのかい?

……って無理もないか」


 そこまで世間知らずのお嬢様ではない。

みのりは涼介に一泡吹かせてやろうと得意気に知っている知識を

披露した。










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