Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
三
IE
「早くこないとおいてくよ」
みのりの言葉に対し振り返らず告げると、
みのりが不満げな言葉を紡いでくる。
「おいてくって、
あんたの中にはレディーファーストっていう言葉はないわけ?」
「君以外の女性なら適用可能だよ、その単語」
本当ならみのりに対しても適用可なのだが、
なんとなく素直になれず憎まれ口をたたいた。
「本当にさっきからむかつく男ね」
忌々しげなみのりの声に涼介はこっそり息を吐きだす。
本当はもっと気遣いたい部分はあるのだが、
彼女が相手だとどうにも素直になれない。
(むかつく男……か……)
自業自得だとは思いつつもちくりと痛む胸を無視して立ち止まる。
「無駄口はいいから足を動かしなよ、みのりお嬢さま」
トニーズの黄色い看板を指をさして見せると、
後方にいたみのりが叫んだ。
「動かしているでしょう!」
鼻息を荒く足を踏み鳴らすみのりを振り返る。
頬をぷくりと膨れさせているみのりを見て、涼介は目尻を和ませた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|