Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
四
IA
「それを言ったらあんただって、
私に癒えない傷をつけたんですからね!」
みのりが不愉快げに顔を背けた。
「俺は女の子にそんなひどいことは言わないよ。言うわけがない」
涼介は鼻で笑い、手を横に振った。
「言ったんですー」
「言ってないね!」
口をすぼめて語尾を伸ばしてくるみのりに、涼介も叫び返す。
だが、みのりはへこたれた様子もなくそっぽを向いて、
大仰な溜め息を吐いてきた。
「私がどれほど傷ついたか!」
「その言葉、そっくり返すよ」
みのりの答えに間髪入れず返すと、
店員の場違いな明るい声が響く。
「お待たせいたしました。
アイスクリームと抹茶アイス付あんみつでございます……」
途中で不穏な雰囲気を悟ったらしい。
気まずそうな顔をする店員に対し、涼介は愛想笑いを浮かべた。
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