Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
五
H
「いやあ、うちの兄貴たちとはぜんぜん違いますよ。
紅さんがちょっとうらやましいなあ」
「僕の紅はとても可愛いですからね」
「なるほどー」
やはり碧はすごい。
深く頷いていると、みのりが腕に肘をあててきた。
「妹思いの思いがあなたの思ってるようなのとは違うわよ」
こっそり声をかけてくるみのりに目を向ける。
「紅さんのことを大事に思ってるってことだろ?」
「それはそうなんだけど……」
目をしばたたいているとみのりが言いにくげに語尾を濁した。
(どういう意味だろう?)
少し疑問には思うものの、
やはり幸せそうな碧の表情がそれを忘れさせた。
「いいなあ、兄妹って……」
しんみりしつつ呟くと、みのりが形のよい眉を顰めた。
「あんたのお兄さんだって、
それなりにあんたのことを心配してるじゃない」
「あれは心配の内容が違うんだ」
みのりの言葉が胸に突き刺さる。
そうだ。あんなのは心配とは言わない。
唇を引き結び、痛みを隠して口の端をあげてみせると、
みのりが小さく目を見開いた。
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