ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１７

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅹⅶ

「ふふふ、どういたしまして」

　答えてくれながらも、やはり手は握ったままである。

（まさかずっとこのままとか？

いやいや、たぶん何かに夢中で忘れてるのよ）

　いくらなんでも純粋で無垢な少年が、

異性に対し興味津々なんてことはないだろう。

小さく首を左右に振っていると、

太一が唐突に鼻に手を近づけてくる。

「お姉さん、なんかいい匂いするね」

「ぎゃ！」

　予想以上に色気のある言葉を前に度肝を抜かれ、

麻里はとっさに手を無理やり引っこ抜いた。

「ちょ、ちょっと太一君。君ねえ！」

　注意しようと声を荒らげ、はたと気づく。

「……ってあら？　君もいい匂いがするわね」

「えー？　ぼくもいい匂いするの？」

　太一が自分の腕に鼻を近づけ匂いを確かめた。

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