ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その１４

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

二

ⅲ

「あ、はい。今それを探してたんです」

　見つかってよかった、とほっとしつつ首肯すると、

邦夫がぽんと手を打つ。

「そういえば、正志は山波さんと知り合いだったべ」

「ということは、正志にこれを渡せばいいのか？」

　朔太郎の言葉に飛田は微笑んだ。

「はい。お義父さん、

いや、ええっと、芽衣子さんのお父さんの物なので」

　笑顔のまま手を差し伸べると、麗が朔太郎を肘でつつく。

「ほら、朔ちゃん。さっさと渡して」

「あ、ああ、わかった。ほら、正志。受け取れ」

　朔太郎が手渡してくる木版を受け取り、飛田は礼を言った。

「ありがとうございます。これで僕の面目が立ちますよ」

　心底ほっとして吐息していると麗が愉快げに口へ手をあてる。

「まぁ、まぁーくんたら。善郎さんによろしく伝えておいてね」

　ほほほ、と品のいい笑い声をあげる麗に会釈して、

運転席のドアを開けた。

次の瞬間、見知らぬ女性が自転車ごと突っ込んでくる。

派手な音とともに扉がへこみ、飛田は目を剥いた。

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