Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




I




 みのりが山波たちと話していると、

ふいに1台の軽ワゴンが入ってくる。

客がきたのかと脇へ寄ると、

停車した紺色の車の中からよろよろとしながら

初等部の制服を着た男の子がでてきた。

5、6年生くらいだろうか。

地面を踏みしめるように立ち、おもむろに顔をあげる。


「あ! お兄ちゃんだ! 涼介お兄ちゃーん」


 男の子は涼介を見つけるや、

車へ近づく涼介の元へ駆け出した。

どうやら彼が涼介の待ち人だったらしい。


(そういえば小学生って言ってたわね。

でもまさか学園の子だったなんて……)


 みのりは飼い主に尻尾を振ってじゃれ着く

仔犬のように涼介にまとわりつく少年を眺める。

次いで、ワイシャツにループタイをつけた

ずんぐりとした壮年の男性が運転席側から出てきた。


「ありゃ? 大丈夫だべか?」


 まだ誰かいるのだろうか。

男性が心配げな声で車の中を覗き込んでいる。

同時に中から弱々しい女性の声が聞こえてきた。










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