Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
IH
太一が宿へ入っていくのと入れ違うようにして、
狸男の一人が振り返り皮肉げに片頬をあげる。
「せいぜいあがくがいい。我らの願いが成就する日までな」
言うだけ言って去っていく後ろ姿を見つめながら、涼介は唸った。
(あれが捨て台詞ってやつか?)
台詞が台詞なだけに、
逃げる時に言ってもあまり様になってない気がする。
(まあ、いいか……)
頭を掻きつつみのりの傍へ寄ると、彼女が小さく鼻を鳴らした。
「あがくってどういうことよ。私たちが何をしてるか知ってるってこと?」
腕を組むみのりの言葉に涼介は応じる。
「わからないけど、
獣人たちにとって俺たちが邪魔だってことなんじゃないか?」
自信はないが、みのりを襲ってきたということは、
確実に反対勢力がいるということだろう。
一人でも捕えることができればよかったのだが、と少々口惜しく思っていると、
そんな気持ちを代弁するかのように碧が口を開いた。
「少し事情を聴きたかったのですがね……」
このままではみのりの安全が保障できない。
こんな時くらい少しでも役に立てたらよかったのに。
ふがいなくて唇を噛み締めていると、斜め前で小越が呟いた。
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