Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IH




 太一が宿へ入っていくのと入れ違うようにして、

狸男の一人が振り返り皮肉げに片頬をあげる。

「せいぜいあがくがいい。我らの願いが成就する日までな」

 言うだけ言って去っていく後ろ姿を見つめながら、涼介は唸った。

(あれが捨て台詞ってやつか?)

 台詞が台詞なだけに、

逃げる時に言ってもあまり様になってない気がする。

(まあ、いいか……)

 頭を掻きつつみのりの傍へ寄ると、彼女が小さく鼻を鳴らした。

「あがくってどういうことよ。私たちが何をしてるか知ってるってこと?」

 腕を組むみのりの言葉に涼介は応じる。

「わからないけど、

獣人たちにとって俺たちが邪魔だってことなんじゃないか?」

 自信はないが、みのりを襲ってきたということは、

確実に反対勢力がいるということだろう。

一人でも捕えることができればよかったのだが、と少々口惜しく思っていると、

そんな気持ちを代弁するかのように碧が口を開いた。 

「少し事情を聴きたかったのですがね……」

 このままではみのりの安全が保障できない。

こんな時くらい少しでも役に立てたらよかったのに。

ふがいなくて唇を噛み締めていると、斜め前で小越が呟いた。










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