Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
II
「我らの願い……、満さん……?」
小越の言葉に碧がいち早く反応する。
「満さんとはどなたのことですか?」
淡々とした口調で尋ねる碧へ向かい、小越が頬を染める。
(なんでそこで赤くなるんだ?)
不思議に思い目を瞬いているその眼前で、小越は頬へ手をあてた。
「あ……ええっと、なんでもないんです。はい」
「そうですか。てっきり獣人にお知り合いがいるのかと」
碧の言葉に小越がはい、と頷く。
「ええっと、いるんですけど、でも違うっていうか……ははは……」
なぜかもじもじしながら話す小越を、碧がじっと半眼で見つめた。
「そうですか」
呆れてるっていうよりは興味がないって感じだろう。
ここの所で少しだけ彼のことがわかってきた気がして小さく吐息していると、
碧が小越から視線を逸らした。
「……お嬢様、紅ご無事ですか?」
きびきびとみのりと紅のもとへ向かう碧を眺めていると、
尋ねられたみのりが気後れしたように頷いた。
「あ、碧。ええ。私は無事よ。紅は?」
尋ねるみのりへ紅が首肯する。
「問題ない」
紅の言葉に涼介はほっと胸を撫でおろした。
2人が無事なのは本当に何よりだと安堵していると、宿の中から声が聞こえてきた。
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