Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
IIE
「わ、わかったから。痛い、痛いって!」
涼介はみのりの剣幕に圧され、大人しくかがむ。
みのりは無言で救急箱を開け、取りだした消毒液で頬へあててくる。
(イテッ!)
つんとした匂いと同時にピリピリと痛みが走り、涼介は顔を顰めた。
だが次の瞬間、目の前に端正な白い顔が真剣な表情で傷を見つめていることに気づき、
慌てて不満を飲み込む。
(何かの花かな?)
長い黒髪からふわりといい香りがして、しばし思考が停止した。
それは黄金梅の実を植えた時に薫るものとは種類が違った。
なぜだかとても甘く落ちつかない気持ちになる。
半ばうろたえつつ治療を受けていると、みのりが絆創膏を探し始める。
何か言わなければ。
「ありがとう、みのりさん」
やっとのことで言葉を紡ぐと、みのりの耳がみるみるうちに赤くなった。
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