Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
E
「太一をお願い」
めったに揺らぐことのない紅が強い瞳で訴えてくる。
「わかった。みのりさんをお願いします」
涼介は神妙な面持ちで頷くと同時に、紅と碧がみのりへ向かい走りだした。
「あなたの相手は私たちですよ」
碧が敵と紅の前へ割って入り不敵に微笑む。
「ちょっと痛いじゃない! 離しなさいよ!」
みのりが引っ張られた髪を振り乱しもがいていると、
善郎が水色シャツの男の手を掴む。
「この野郎! みのり様を離せ!」
「そんなこと言われて離すと思うか!」
ぐいぐいとひっぱる善郎に狸男の顔の顔がゆがむ。
「お嬢さま」
なかなか近づけないのか紅が途方に暮れたようすで呟く。
(碧さんたちも近づけないのか……)
このままではみのりが危ない。
知らず太一を抱く腕に力を込めると、太一の手が重ねられた。
「お兄ちゃん、ぼくは大丈夫だからみのり様を助けてあげて」
驚き太一を見つめると、力強い瞳で太一が頷く。
涼介は一瞬迷う。
黒いTシャツの狸男が起き上がりそうもないことを確認し、決意した。
「梅宮さん! 私だって!」
立ち上がり善郎たちのもとへ駆け寄ろうとする小越の腕を掴みつつ、
太一へ語りかける。
「……わかった。いいかい、無茶はしちゃダメだよ。小越さん、ここをお願いします」
「あ、は、はい。わかりました!」
虚を突かれたような顔で首を上下させる小越に小さく頭をさげ立ち上がると、
太一がまっすぐな目で見上げてきた。
「うん。大丈夫、お姉さんと待ってる」
「ありがとう。すぐ戻るよ」
涼介は太一へ微笑むと、すぐさまみのりの元へ走りだした。
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