Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
F
みのりは拘束されたままの状態にイラついていた。
太一に変わり、狸が自分に目をつけたことはいい。
おかげで少年は無事に解放された。
だが、逆に自分が捕まってしまったせいで
碧と紅が手を出せなくなっている。
(足枷になるつもりはなかったのに……)
それにこれ以上髪の毛を引っ張られ続けると
地毛をみんなに見せることになってしまう。
それだけはなんとしてでも阻止したかった。
(雪姫と同じ水色の髪の毛なんて絶対に知られたくないわ!)
幼い頃は自分の髪の毛の色が稀有なものだとは知らなかった。
ただ、周囲にいた大人たちの驚愕のあとに注がれる熱のこもった
眼差しが怖かったことだけは覚えている。
母の勧めで鬘を被るようになってからはそういうこともなくなったが、
幼心に感じたあの恐怖は地毛を人前に晒すことをためらわすには
十分なものになっていた。
(なんなのこの狸!
まさか鬘だって知ってるんじゃないでしょうね?)
みのりは力任せに引っ張ってくる狸に我慢できなくなる。
「それじゃあ離したくなるようにしてあげるわ!」
言うや、前に回されているほうの狸の腕に顔を近づけた。
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