Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
H
瞳に映し出された光景が想像していたものと違い、眉を顰める。
眼前には廊下の絨毯の色ではなく白い何かが広がっていた。
(やだ、私ったらどういう形で転がってるの?)
急いで起き上がろうと腕を動かす。
しかし何かに拘束されているのか思うように動かない腕に、
全身の血の気が引いていく。
(え? なんで?)
現状が把握できず気が動転したままもがくと、
拘束されていた何かの力が弱まる。
と同時に、少し低くて柔らかな声が頭上から降りてきた。
「大丈夫かい?」
聞き覚えのある声に顔をあげると、
そこには心配そうに眉を下げ覗き込んでくる涼介の二重の瞳があった。
(へ? なんで涼介がここに?)
そういえば狸に振り下ろされたときに
青年の声を聴いたような気がする。
しかし、彼は太一のそばにいたのではなかっただろうか。
パチパチと瞬きを繰り返しながら、ぼんやりと涼介の顔を見つめる。
(涼介のまつ毛って意外と長いのね……って、え?
私、どうなってるの?)
自分の状況が分からず、視線だけを動かし辺りを窺った。
なぜ衝撃が思ったよりも小さかったのか、その理由がわかった。
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