Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
IIE
「梅宮護衛室長補佐、梅田碧? 梅宮ー!」
律子は名刺に書かれている肩書と名前を読み上げると、叫び出す。
そして音のなくなった口の開閉を繰り返し、碧を見る。
にこりと微笑む側近から逃れるかのようにと、涼介へ顔を向けた。
「梅宮ってあの梅宮?」
「そうですよ。
ちなみにこちらにいるのが次期当主の梅宮みのりさんです」
涼介が律子の問いに頷いてみせると、おもむろに体を脇へずらした。
別段隠れていたわけではないが涼介がどいたことによって視界が晴れ、
大きく目を見開いた律子と目が合う。
「梅宮、みのりー? さん? じゃなくて様?
え、嘘、本当? やだ、どうしましょう。私ったらこんな格好で……」
ベッドに寝かされていたせいで乱れてしまったのだろう。
一つに縛ってある髪をなでつけたり、
ベージュ色の上着のしわを伸ばしたりと、
忙しなく動く律子へみのりはにこりと微笑んだ。
「初めまして。
今回は大変な目に遭遇されましたね。ご無事で何よりです」
「あ、こ、これは、これは……
ご、ご丁寧にどうもありがとうございます」
まさかこちらから話しかけてくるとは思ってもいなかったのだろう。
律子は顔を真っ赤に染め、言葉を詰まらせながら何度も頭を下げた。
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