Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
A
目を覚ますと善郎と碧はすでに着替え終えていた。
慌てて起き上がり着替えると、
もうすぐ食事ですよ、と碧に微笑まれる。
まだ眠っている太一を起こすと、
太一が目を擦りながらおはようと、挨拶をしてきた。
着替えていくから先に行っていて、と気を遣ってきた少年に礼を言い、
碧たちとともにみのりたちの部屋へ向かう。
声をかけて入ると野木崎を覗く女性陣がテーブルでお茶を飲んでいたので、
涼介は挨拶をする。
入れてくれたお茶に口をつけてほっと息を吐いていると、
閉ざされた襖がおもむろに開いた。
「おはようございます」
野木崎が少し気後れしたようすで声をかけてくる。
「おはようございます。野木崎さん」
「おはようございます」
碧が挨拶を返すのに倣いお辞儀すると、
後ろから入ってきた善郎が軽く手を挙げた。
「おう、よく眠れたかい?」
「大丈夫ですか? 律子さん!」
小越が席を立ち野木崎へ近づく。
「おはようございます。体調のほうはどうですか?」
お茶を入れながらみのりが尋ねると、紅が律子へ向かい目礼した。
「え、あ、ありがとうございます、みなさん。
おかげさまで睡眠もきっちりとれたので元気になりました」
野木崎が恐縮しきったように頭をさげると、小越が満面の笑みを浮かべる。
「よかったあ!」
野木崎の手を取りぶんぶん上下させはじめる。
そんな小越の調子に慣れているのか、
野木崎が身体を揺すぶられるのもそのままに小首を傾げた。
「あら? ところで太一君は?」
野木崎の言葉に涼介は部屋へ置いてきた太一を思う。
「そういえば、どうしたんだろう?」
さすがにもう着替え終わってもいいころだが。
一度様子を見に行こうか、と腰を上げかけていると、
甲高い声が聞こえてくる。
「わー、寝坊したー!」
ドタバタと部屋へ入ってくる太一の声に、涼介は小さく噴きだした。
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