Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
C
「ああ女将、おはようございます。
桜の間に朝食の用意をお願いします」
「かしこまりました」
受話器越しに女将の声が聞こえてくる。
聞くつもりがなくても漏れ聞こえてくる声にみのりは苦笑した。
「碧さん。これからどうします?」
すぐに用意いたします、と言われ碧が受話器を置くと、
涼介が真面目な顔つきで碧へ切り出す。みのりは眉を顰めた。
(なんで碧に聞くのよ。決定権は私にあるのに!)
碧は側近に過ぎない。
それなのに涼介は何かあるたびに、まず碧へ伺いを立てる。
これでは碧と自分のどちらが主でどちらが側近なのか
わからないではないか。
確かにこれまで涼介から話しかけられても、
素直に返答せず可愛げのない態度を取ってしまっていたことは認める。
しかし、黄金梅に関してのことはきちんと応対していたつもりだった。
それなのに涼介は、こちらを無視して
二人だけで話しを進めてようとしている。
それが無性に腹立たかった。
みのりが睨みつけるように涼介と碧へ視線を向けていると、
すぐに碧と目が合う。
自分の気持ちなど百も承知だと言わんばかりに、
碧がにやりと口角を緩める。
側近らしい態度にみのりは苛立ちを覚え、フンッとそっぽを向いた。
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