Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




II




「ちょっと!

そんな簡単に安請け合いしちゃって大丈夫なの?」

 みのりが腕を掴んで耳打ちしてくる。

寄せられたほんのりと温かい身体に胸が高鳴った。

「大丈夫だと思うよ、これなら」

 平然と答えながらみのりの温もりに上気していると、

太一と雪姫が同時に飛び上がった。

「やったー!」

 雪姫がテーブルの上を飛び跳ね、太一もはしゃぎだす。

時々大人びた物言いをする子だが、

こういう時は年相応なのだな、と微笑ましく眺めていると、

突然小越が向きを変えた。

「じゃ、じゃあ、私すぐに取りに行ってきます!」

 すぐさま走りだそうとする小越を涼介は止める。

「ちょっと待ってください!」

「待ってください、先生!

碧、いつまであっちの世界へ行ってるの! 先生を止めなさい!」

 みのりも小越を呼び止め、

にやにやと相好を崩し紅を見つめている碧も叱咤した。

「はい?」

 首をかしげて立ち止まる小越を見て、涼介は胸を撫でおろす。

高等部の講師らしいが、どうやらすぐに突っ走るくせが抜けないらしい。

(大丈夫なのかな? この先生……)

 生徒であるはずのみのりに注意される小越を見て、

涼介はその頼りなさに眉根を寄せた。










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