Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
II
「ちょっと!
そんな簡単に安請け合いしちゃって大丈夫なの?」
みのりが腕を掴んで耳打ちしてくる。
寄せられたほんのりと温かい身体に胸が高鳴った。
「大丈夫だと思うよ、これなら」
平然と答えながらみのりの温もりに上気していると、
太一と雪姫が同時に飛び上がった。
「やったー!」
雪姫がテーブルの上を飛び跳ね、太一もはしゃぎだす。
時々大人びた物言いをする子だが、
こういう時は年相応なのだな、と微笑ましく眺めていると、
突然小越が向きを変えた。
「じゃ、じゃあ、私すぐに取りに行ってきます!」
すぐさま走りだそうとする小越を涼介は止める。
「ちょっと待ってください!」
「待ってください、先生!
碧、いつまであっちの世界へ行ってるの! 先生を止めなさい!」
みのりも小越を呼び止め、
にやにやと相好を崩し紅を見つめている碧も叱咤した。
「はい?」
首をかしげて立ち止まる小越を見て、涼介は胸を撫でおろす。
高等部の講師らしいが、どうやらすぐに突っ走るくせが抜けないらしい。
(大丈夫なのかな? この先生……)
生徒であるはずのみのりに注意される小越を見て、
涼介はその頼りなさに眉根を寄せた。
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