Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
III
「地面がすべて氷になったんですか。
すごいですね……碧、そんな神社知ってた?」
やはり山波に聞いて良かった。
みのりは感心しながら側近へ話を振る。
果たして碧はこのことを知っていただろうか。
(でも碧のことだもん、どうせ知らなかったんですか、
なんて嫌味を言ってくるに決まってるわ)
それでも碧が知らないという可能性を棄てきれず、
みのりは側近を見る。
しかし返ってきた声は彼のものではなく、
山波のものだった。
「……獣人に関係のある場所だったと思いますよ」
「ああ、なるほど。
それなら知らなくても仕方ないと思いますよ、お嬢様」
碧が山波の補足に納得したように頷く。
なんでもそつなくこなす側近を冷やかせるチャンスだと思ったのが、
相手のほうが何枚も上手だったようだ。
こちらの思惑など気づいているというような言い方に、
みのりはゆっくりと碧から山波へ目線を移した。
そして側近から余計なお小言をもらう前に話を進める。
「獣人たちの……
飛田さんがいるから山波さんはそこへ行けたんですね」
持つべきものは娘さんの恋人ですね、と
みのりは満面の笑みを山波へ向けた。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|