Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
A
「まずいわ。彼らがいることを忘れていたわ……」
爪を噛み思案顔のみのりを前に、涼介は顎に手をあてる。
彼女の言うとおり、雪姫が見つかるのはいろんな意味でまずい。
必死で言い訳を考えていると、紅が淡々とみのりへ告げる。
「お嬢さま、大丈夫です。雪姫のこと、みんね、見えない」
冷静な紅の言葉にみのりがぽん、と手を打った。
「あ、そうだったわね。なんとかして誤魔化せば……」
答えながらみのりが雪姫に近づく。
しかし、それより先に太一の歓喜した声が耳をつんざいた。
「うわー! 何そのお人形! 電池で動いてるの?」
テーブルに近づく太一に小越が続く。
「あら本当。かわいいわね」
微笑みながらしゃがみ込みテーブルの上を見る。
その上では雪姫が元気に足をばたつかせていた。
「え? なんで? 先生、見えてるんですか?」
みのりが焦ったように小越の肩へ手を置く。
「え? 見えてるってこの人形のこと?」
指をさして首をかしげる小越へ、みのりが頷いた。
「そうです。ちなみにそれは人形じゃありません。
そこの、太一君だったっけ? 君も見えてるの?」
みのりが太一へ声をかける。
「うん。見えてるよ。おじちゃんも見えるでしょう?」
太一が雪姫へ伸ばそうとした手をとめ、笑顔で山波を振り仰いだ。
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