Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




B




「何よいい子ぶっちゃって。

だいたい山波さんの顔も知らないくせに案内なんてできるわけないじゃない」

 少しだけ瞳を潤ませて頬を膨らませるみのりを前に、

涼介は少々うろたえる。

一瞬かわいいとさえ思ってしまった自分に胸の内で焦りつつそっぽを向く。

「なんだいそれ?

山波さんとかいう人なら顔さえ見ればなんとなくわかるさ、たぶん」

「いい加減なこと言わないでよね」

 根拠のない理屈で反論すると、案の定切って捨てられた。

「あーあ雪姫を部屋から出さないためだからって紅と碧を

残してくるんじゃなかったわ」

 明後日のほうを向いて嘆くみのりを前に、涼介はこっそり溜め息を吐く。

「まったく……」

 どうして自分はこんなにも不器用なのだろう。

もう少し良い言い方があるだろうにどうしても彼女を前にすると、

意地が先にでてしまう。

(どうにも難しいなあ……)

 頭を掻きながらこっそり反省をしていると、そこへ一台の車が入ってきた。

「あ! あの車そうじゃない?」

 言うが早いか車へ向かって駆けだすみのりの後ろ姿へ涼介は叫ぶ。

「おい! 危ないぞー!」

 だが、みのりは振り返りもせず車へ向かい走り去ってしまった。

本当に、慎重なんだか奔放なんだか判別がつかない。

どうにも理解に苦しむな、などと内心でぼやきつつ、

涼介はみのりを追った。










一つ前に戻る   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析