Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
IB
「そ、それで黄金梅が何?
黄金梅の種を植えた人だけにでも見えるとでも言いたいの?」
話を無理やり元に戻すみのりへ碧が含み笑いで答える。
「おや? お嬢様にしては察しがいい」
おちょくっているのか感心しているのか判別のつかないその言葉に、
それまで黙っていた紅が小さく声を発した。
「お嬢さま、すごい」
手放しに褒めているのだとわかるその言葉を聞き、涼介は軽くうなだれる。
ここまで信頼されているみのりがうらやましくも妬ましい。
僻み根性が高じてきたな、と頭をかいていると、
斜めでお茶を口にしていた山波が口を開いてきた。
「何がなんだかわからんのですがね」
眉間に皺を寄せ説明を求めてくる山波の言葉を継ぎ、小越が尋ねる。
「つまり、私たちに見えているのは人形ではないってことですか?」
小越の問いかけに碧が頷いた。
「そういうことですね。
どうやらそこにいる雪姫様の姿は一般の人には見えないようなんですよ。
しかし、ここにいる方々は見えている。つまりそういうことです。
きっとここにいない野木崎も雪姫様が見えると思いますよ」
「へえ〜!」
「ふむ……」
碧の種明かしに、小越と山波が感心したように何度も頷く。
これから自分はどうあるべきなのだろう。
自分がいることで役に立つことがあるのだろうか。
涼介は漠然と湧いた不安を押し流そうと、湯呑に口をつけた。
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