Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IC




 みのりは本来の目的を思い出し、ポンッと手を叩く。


「あ! そうよ! 忘れていたわ!」


 一番重要な案件だというのに、

すっかり記憶の彼方へ追いやってしまっていた。

それもこれも学園の教師である小越麻里が現れたり、

雪姫を認識できる人間が増えたりと、

アクシデントが重なりすぎてしまったせいだ。

ことは一刻を争うことだというのに。

みのりは、申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、

話を促すように山波を見た。


「山波さん、野木崎さんという方が攫われたのは本当ですか?」

「はあ。

実は角、いや、獣人の青年が彼女をうちへ連れてきましてね。

それでなんでも種から石がでてきたってことで。

で、いろいろとやってたら知らない獣人の男がやってきて

妨害してきたりしましてね」


 淡々と話す山波にみのりは顔をしかめた。

だが、山波はそんなこちらの様子など気づくことなく話を続ける。


「でもまあ、なんとか暗号らしきものはでてきたんですが。

その後野木崎さんが帰ろうとしましてね。

見送ってたら黒い車に乗った黒服の男たちに連れ去られまして。

追いかけたんですが俺の足ではどうにもなりませんで、はい……」

「……獣人が妨害」


 山波が額に滲ませた汗を拭きながら話を終える。

みのりは、放出した水分を取り戻すかのように茶をあおっている彼を

目の端に捉えながら、獣人たちのことを思い浮かべた。










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