Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
IC
みのりは本来の目的を思い出し、ポンッと手を叩く。
「あ! そうよ! 忘れていたわ!」
一番重要な案件だというのに、
すっかり記憶の彼方へ追いやってしまっていた。
それもこれも学園の教師である小越麻里が現れたり、
雪姫を認識できる人間が増えたりと、
アクシデントが重なりすぎてしまったせいだ。
ことは一刻を争うことだというのに。
みのりは、申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、
話を促すように山波を見た。
「山波さん、野木崎さんという方が攫われたのは本当ですか?」
「はあ。
実は角、いや、獣人の青年が彼女をうちへ連れてきましてね。
それでなんでも種から石がでてきたってことで。
で、いろいろとやってたら知らない獣人の男がやってきて
妨害してきたりしましてね」
淡々と話す山波にみのりは顔をしかめた。
だが、山波はそんなこちらの様子など気づくことなく話を続ける。
「でもまあ、なんとか暗号らしきものはでてきたんですが。
その後野木崎さんが帰ろうとしましてね。
見送ってたら黒い車に乗った黒服の男たちに連れ去られまして。
追いかけたんですが俺の足ではどうにもなりませんで、はい……」
「……獣人が妨害」
山波が額に滲ませた汗を拭きながら話を終える。
みのりは、放出した水分を取り戻すかのように茶をあおっている彼を
目の端に捉えながら、獣人たちのことを思い浮かべた。
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