Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IG




(良かった。得意になって獣人が襲ってきた理由を言わなくて)


 言ってしまえば最後、

どんな嫌味を言われるかわかったものではない。

みのりは側近の冷ややかな目線を想像し身震いする。


「ねえお兄ちゃん、野木崎さんって誰?」


 みのりが小さく安堵のため息をつく中、ふいに太一の声が響いた。

子供がてらにしっかり山波の話を聞いていたようだ。

みのりは感心しながらも涼介へ顔を向けている太一を見つめた。


「あのね、カケルも野木崎って言うんだよ」

「さっき太一君が翔君と話したろ? おばさんが帰ってこないって。

だからみんなでおばさんを捜す相談をしているんだよ」


 涼介が、太一にもわかるように丁寧な言葉で説明する。

相槌をしながら聞いていた太一の顔色が一気に青褪めた。


「え? 野木崎っておばちゃんのことだったの?」

「そうだよ」

「同じ苗字なだけだと思ってた……。どうしようお兄ちゃん。

おばちゃんが攫われちゃったなんてカケルに言えないよう」


 大きく見開かれた太一の目が潤み出す。

みのりは太一を安心させようと、助言を口にした。










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