Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
IG
(良かった。得意になって獣人が襲ってきた理由を言わなくて)
言ってしまえば最後、
どんな嫌味を言われるかわかったものではない。
みのりは側近の冷ややかな目線を想像し身震いする。
「ねえお兄ちゃん、野木崎さんって誰?」
みのりが小さく安堵のため息をつく中、ふいに太一の声が響いた。
子供がてらにしっかり山波の話を聞いていたようだ。
みのりは感心しながらも涼介へ顔を向けている太一を見つめた。
「あのね、カケルも野木崎って言うんだよ」
「さっき太一君が翔君と話したろ? おばさんが帰ってこないって。
だからみんなでおばさんを捜す相談をしているんだよ」
涼介が、太一にもわかるように丁寧な言葉で説明する。
相槌をしながら聞いていた太一の顔色が一気に青褪めた。
「え? 野木崎っておばちゃんのことだったの?」
「そうだよ」
「同じ苗字なだけだと思ってた……。どうしようお兄ちゃん。
おばちゃんが攫われちゃったなんてカケルに言えないよう」
大きく見開かれた太一の目が潤み出す。
みのりは太一を安心させようと、助言を口にした。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|