Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
二
IH
「大丈夫よ。
お友達には野木崎さんを助けてから言えばいいんだから」
しかし、太一はいまいち理解していないみたいだ。
ぱちりと瞬きをゆっくり1回すると、微かに首をかたむける。
それを涼介は敏感に察したらしい。
「大丈夫。俺たちが必ず助けるから、
翔君には『お友達のところに行ってる』って言っておこうか」
涼介が太一の肩へポンと軽く手を乗せる。
不安げだった少年の顔に、満面の笑みが広がった。
「うん。みのり様とお兄ちゃんが言うなら大丈夫だね」
(最近の小学生って私より大人なんじゃないかしら?)
涼介の名前だけを口にすると角が立つとでも思ったのか。
こちらの名前を加えて話す太一に、みのりは苦笑した。
そのことに青年も気がついたようだ。
肩を竦めながらちらりとこちらへ視線を向けてくる。
その態度にムッとするが、
涼介の目線はすぐに太一へと戻ってしまった。
「ああ。安心しておいで」
「うん。それじゃぼく、カケルに電話してくるね」
「ああ」
笑顔で応える涼介に、太一が晴れ晴れとした表情で席を立つ。
そしてそのまま子犬のように勢いよく部屋を飛び出して行った。
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