Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
D
「ちょっとお父さん! 飛田君をいじめないで!」
「山波さん! それに芽衣子さんと飛田さんまで!」
みのりは親子喧嘩が勃発しそうな二人の間に割り込む形で声をかける。
その声でこちらの存在に気づいたのだろう。
一瞬目を丸くすると、すぐさま白髪交じりの黒髪をなでながら
低姿勢で近づいてきた。
「みのり様!
これはこれはわざわざのお出迎え、なんともったいない……」
恐縮ですと言わんばかりの山波に苦笑していると、
芽衣子と目が合った。
「あ、どうも。すみません。大所帯で」
「あ、この間はどうも」
ひと前で言い争ったことを恥じているのか、
芽衣子と飛田が申し訳なさそうに会釈してくる。
みのりは気にしないでほしいという意を込めて首を左右に振った。
「とんでもないです。それより大変なことが起きてしまいましたね」
眉間にしわをよせ山波を見ると、
山波が鼻息を荒くしながら同意してきた。
「はい、まったくで! ……お前たち! もう帰っていいぞ!」
山波が、シッシと虫か何かを追い払うかのように
横にいる芽衣子たちへ告げる。
しかしその言い方が癪に障ったようだ。
芽衣子が瞳をつり上げて素っ頓狂な声をあげた。
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