Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
F
「では皆さんお乗りください。ああ、紅はもちろん助手席だからね」
碧が紅へ柔らかな笑みを見せながら後部座席と助手席の扉を開ける。
(本当に仲がいいんだなあ)
あそこまで想ってもらえる紅はさぞかし幸せなことだろう。
(まあ、仲兄(なかにい)さんはちょっと優しいかもしれないけどさ)
長兄のサポートで忙しく立ち働く次兄の雅仲(まさなか)を思い起こし、
涼介は少しだけ頬を緩めた。
次兄と言えば大抵は飄々としている人間が多いと聞くが、
雅仲はその規定からは少しずれている気がする。
(仲兄は苦労性だからなあ)
一人肩を揺らしていると、太一がハイエースへ走り寄るのが目に入った。
「わぁー! 見てよおじちゃん! 椅子がいっぱいある!」
一番に駆け寄り乗り込んでしまう。
あれは危ない。
涼介はハイエースのドアを覗き込み、太一へ声をかけた。
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