Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IA




(もしかして紅のことが気になってるの?)


 それならば合点がいく。碧のことを尊敬しているようだし、

まったくの他人だが紅は彼の義妹だ。

慕っている相手の義妹ならば、最初から好印象だったに違いない。


(紅は小さくて可愛くいいし。

それにあの猪の獣人特有の薄茶色の髪が、毛先に行くにしたがって

こげ茶色なっていっているとこなんかも綺麗だし、

何より紅にはよく似合っているもんね)


 涼介が紅に惹かれるものわかる。意外に見る目のある男だ。

問題と言えば彼女が獣人だということだろうか。

しかし、涼介が獣人に対して嫌悪感を抱いてないことは

太一を送ってきた獣人への態度からも伺えた。


(そういえば碧が紅へ話しかけてるときも

うらやましそうに見てたわ……

そっか、涼介は紅のことが好きなのね)


 たどり着いた結論に、きゅっと胸が締めつけられる。


(べ、別に涼介が誰を想ったって関係ないじゃない!

それに紅には碧がいるんだからそんな簡単に涼介の想いは

伝わらないんだから)


 誰に聞かせるでもない言い訳を内心で吐露していると、

山波の乾いた笑い声が聞こえてきた。










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