Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




F




 なんだかわからないがよくない事態が起こっているらしい。

(なんで黄金梅を実らせるってだけで

こんな訳わからないことばかり起こるんだ?)

 涼介は顎に手をあてしばし考え込む。

だが、納得できる理由を見つけだすことはできなかった。

(他にも何か情報があればいいんだけど……)

 ふと角を突きだして慌てている鹿らしき青年に目がとまった。

獣人の彼ならもっとくわしい事情を知っているかもしれない。

涼介は、黒いハイネックシャツを着た壮年の男性と

話しこんでいるみのりへ話かけた。

「あのさ。何はともあれ、その鹿の人にはいてもらったほうがいいんじゃないかい?

誘拐されちゃった人知ってるみたいだし」

 みのりが弾かれたようにこちらを見る。

「え? ええ、そうね」

 驚いたように目を見開くみのりの態度へ眉根を寄せていると、

みのりがぽん、と手を打った。

「ってそういえばあんたのこと忘れてたわ。

山波さん、彼は梅宮の分家の者でこれから一緒に

行動することが増えると思いますがよろしくお願いします」

 なんだかんだ言ってきちんと紹介し始めるみのりに戸惑いつつ、

涼介は山波と呼ばれた壮年の男性へ頭をさげた。










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