Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
F
なんだかわからないがよくない事態が起こっているらしい。
(なんで黄金梅を実らせるってだけで
こんな訳わからないことばかり起こるんだ?)
涼介は顎に手をあてしばし考え込む。
だが、納得できる理由を見つけだすことはできなかった。
(他にも何か情報があればいいんだけど……)
ふと角を突きだして慌てている鹿らしき青年に目がとまった。
獣人の彼ならもっとくわしい事情を知っているかもしれない。
涼介は、黒いハイネックシャツを着た壮年の男性と
話しこんでいるみのりへ話かけた。
「あのさ。何はともあれ、その鹿の人にはいてもらったほうがいいんじゃないかい?
誘拐されちゃった人知ってるみたいだし」
みのりが弾かれたようにこちらを見る。
「え? ええ、そうね」
驚いたように目を見開くみのりの態度へ眉根を寄せていると、
みのりがぽん、と手を打った。
「ってそういえばあんたのこと忘れてたわ。
山波さん、彼は梅宮の分家の者でこれから一緒に
行動することが増えると思いますがよろしくお願いします」
なんだかんだ言ってきちんと紹介し始めるみのりに戸惑いつつ、
涼介は山波と呼ばれた壮年の男性へ頭をさげた。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|