Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
G
「梅畑涼介です。よろしくお願いいたします」
軽い会釈をしながら名を名乗ると、山波が頭へ手をやる。
「こいつはどうも」
照れ笑いのような微妙な表情で頭をさげてくる山波に笑顔で応じていると、
何を思ったのか山波がはたと瞳を見据えてきた。
「梅畑っていうと、あの?」
質問の意図を察して涼介は内心で溜め息を吐く。
現黄梅市市長である兄、
梅畑雅秋の名を知らない人間は子供くらいのものだろう。
「兄です」
涼介は端的に事実を告げた。
あまり触ってほしくない話だと目で訴えるが、
山波には通じなかったようだ。
「へえ、やっぱり。お顔立ちがよく似てらっしゃいますなあ」
なぜか感心したような口調の山波を前に、涼介は口角をあげてみせる。
「ははは」
中身は少しも似ていないんだけどな、と胸の内で呟きながら、
涼介は乾いた笑いをもらした。
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