Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
IIC
「碧の運転はぴか一よ。だから絶対逃げ切れるからね」
信頼に満ちたみのりの言葉に太一が微笑む。
(さすがに想い人に対する表情は違うよなあ)
そこはかとなく侘しい気持ちに陥りつつ、涼介は頬を緩める。
(なんとしても幸せになってもらわなくっちゃな)
どうやら自分はみのりのことを放っておけないらしい。
なぜそんなことを思ってしまうのかはわからないが、
彼女にはいつも明るくいてほしいのだ。
(なんか我ながら訳わかんないな……)
内心で苦笑していると、太一が袖を掴んできた。
「お兄ちゃんもみのり様もありがとう」
心から礼を言ってくる太一の信頼にも答えたい。
「ああ」
涼介は頷き拳を握り締める。
「それにしても許せない!」
おそらく敵はこちらの動きを完全に監視しているのだろう。
つまりは同行者に太一がいることも承知しているということだ。
「最低な奴らだ!」
こんな小さな子まで巻き込み理不尽な攻撃を行ってくる人間たちに
心底腹が立ち下唇を噛んでいると、前方で碧の弾んだ声がした。
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