Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
IID
「なかなかしぶといですね。
ですがお嬢様にあー言われてしまったからには腕の見せ所ですね」
笑ってはいるがどこか緊張感のあるその声に、涼介は姿勢を正す。
「役に立てず申し訳ありませんがよろしくお願いします、碧さん」
精いっぱいの心を込めて一礼すると、碧がバックミラー越しに微笑んだ。
「大丈夫ですよ。涼介君」
なぜだろう。実の兄よりも安心する声だ。
涼介は碧の答えにほっとして少しだけ肩の力を抜いた。
「兄さん、頑張って」
紅の淡々とした声が聞こえてきて、碧の声音が一変した。
「べ、紅ー! もちろんだとも。
君が応援してくれるのなら車の1台や2台躱して見せるよ。
だから、だからもう一度」
碧がいたく感激した様子で片手を紅に伸ばし肩を抱き寄せようとし始める。
(あ、碧さん……?)
突然箍が外れたような碧を見て、涼介は瞳を瞬かせた。
(本当に仲がいいんだなあ、あの2人)
自分には妹がいないので正直よくわからないが、
妹という存在はそんなにも庇護欲をかきたてるものなのだろうか。
展開についていけず呆けていると、紅の冷静な声が届いた。
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