Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
IIE
「兄さん、うるさい。前見て」
「紅ー」
冷徹とも取れる紅の態度に碧が情けない声をあげる。
(あの碧さんが妹さんには形なしなんだなあ……)
情けない、とまでは思わないが、妹という存在に脅威を感じる。
「う〜ん……」
一人唸っていると、横合いからみのりの怒声が飛んできた。
「あんたたちこんな時に何のんきなことやってるのよー!」
その途端、銃声が轟いた。
同時にパトカーのサイレンが聞こえてきて、
涼介は遅ればせながら事態が複雑化していることに気がついた。
(どうすればいい!)
今警察に捕まったら面倒なことになりかねない気がする。
涼介は視線だけで後方を確認し、必死で思案する。
(考えろ、考えろ……)
碧だけに重荷を背負わせるわけにはいかない。
(俺だけ降りて対処するか?)
兄には少し迷惑がかかってしまうが、
連絡さえつけば警察も手を引いてくれるかもしれない。
人差し指の爪を親指に押しつけ考えをまとめていると、
前方から声がした。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|