Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
三
IIF
「窓開けて一発お見舞いしてやりますかね!?」
見ると山波がそばにあったプラスドライバーを手に意気込んでいる。
冗談じゃない。
すぐさまやめさせようと口を開くが、おずおずとした声音に遮られた。
「そ、それはやめたほうがいいと思うんですけど……」
ためらいがちに静止を促す小越の言葉に、山波の手がとまる。
ほっと胸を撫でおろしていると、一際明るい調子の声が届いた。
「なんて良いタイミングでしょう。ここは彼らにお任せしましょう」
先ほどよりも余裕を滲ませた碧の言葉に、涼介は目を瞠る。
(この状況を利用するなんて、できるのか?)
だが、碧ならばやってのけてしまうだろう。
(さすがだなあ)
心底感心していると、パトカーから声が響いた。
『そこの乗用車と白のワゴン止まりなさい!』
「ちょ、ちょっとどうするのよ! 捕まっちゃうわよ」
みのりが慌てたように碧へ怒鳴る。
「大丈夫ですよ。お任せください」
落ちついた声音でみのりへ返し、碧が姿勢を正すのが見える。
(来るか?)
次に来る衝撃を予想して涼介はみのりと太一へ手を伸ばす。
だが次の瞬間、黒塗りの車が突然離脱を始めた。
横に横断歩道を左折して猛スピードで逃げていく。
慌てたようにパトカーが黒塗りの車を追いかけていくのを見て、涼介は目を瞬かせた。
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