Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIH




「先回りしてるか、

もしくは案外こちらのよく知る人物が関係してるかもしれない」


 涼介が重々しく言ってきた言葉にみのりは深くため息をつく。


(よく知る人物かもしれないって、当たり前じゃない!

私のことを連れ戻そうとしてるのよ?

本家の人間に決まってるじゃない。それなのに何を言ってるのかしら?)


 もっと重大な何かを見つけたのかと思っていたのに、

とんだ肩透かしである。みのりは胡乱な眼差しを涼介へ送った。

しかし、碧の考えは違ったようだ。

ニヤニヤと胡散臭い笑みを張りつけ、ミラー越しに涼介を見ている。


「おや涼介君はなかなか鋭いですね。

それで何か心当たりがあったりしますか?」

「家出中のお嬢様を追ってる方たちの可能性はないんですか?」


 新しいおもちゃでも見つけたとでも言うような碧の態度に、

涼介は肩を竦める。

それでも律儀に応えるあたり、人が良いのかもしれない。


(碧ったら何を言ってるのかしら? 本家以外あるわけないのに……)


 母親の命令でなければどれほど嬉しいことか。

しかし、そんな希望を持つだけ無意味だ。

みのりは碧からの肯定の言葉を、目をつむって待った。

しかしここへ来て涼介の言葉を頷くと思っていたはずの碧の口から

否定の言葉が出てくる。










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