Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIIE




「わ、私だって負けません! ヒールがありますから!」

 ヒールを手に持ち鼻息を荒くしている小越を見て涼介は唖然とする。

(この人、何言ってるんだ?)

 ちょっと頭のネジがおかしいんじゃないだろうか。

少しめまいがしてこめかみに手を置いていると、横からみのりの声がした。

「先生は靴で戦うんですか?」

「そうよ! 女はヒールよ、梅宮さん!」

「なるほど」

 みのりの問いに拳を握り締めつつ答える小越を前に、

みのりがしきりに頷いている。

(あれで納得できるのか?)

 半分呆れてみのりの顔を覗うと、

みのりの表情は声よりずっと冷めたものだった。

(だよなあ……)

 先ほどと同じ連中ならば、おそらく銃くらい持っているだろう。

いくらなんでもヒールでどうにかできる相手ではないはずだ。

(まあ、それでも何かあるよりましだけど)

 涼介は吐息して碧へ尋ねる。

「穏便に済む方法はないんでしょうか?」

 ダメで元々だ、と思い問いかけると、案の定碧の首が横に振られた。

「それは難しいでしょう。

あそこにいる方々が一般のお客さんという可能性もありますからねえ」

 碧の答えに涼介は落胆する。

まあ、まだ決まったわけではないが、先ほどから殺気らしきものを感じていた。

「なんでもないことを祈ってます」

 希望的観測にしかならないことを告げながら、涼介は深い溜め息を落とした。










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