Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




A




「あんたに言われなくてもわかってるわよ」


 振り返り、顔をしかめ涼介を見る。

どうせ彼のことだから言い返してくるのだろう。


(受けて立ってやる。今度こそ言い負かしてやるんだから)


 だが、涼介は意気込むこちらの予想を裏切り、

傷ついたような表情で視線を逸らした。


「そりゃそうだろうけどさ……」

(え? ちょっと何よ。なんでそこで言い返してこないのよ!)


 これでは自分が他人の親切も受け入れない

可愛い気のない女みたいではないか。

みのりは涼介からの文句を引き出そうと、

再び悪態をつこうとする。

しかし、上手い言葉が見つからない。

早く何か言わなくては、と焦れば焦るほど頭は真っ白になり

口の開閉を繰り返した。


「ぼくも行くー」


 涼介との間に重苦しい空気が流れる中。

それを断ち切るかのように太一が勢いよく挙手をしてきた。

期待を込めた眼差しを向けてくる少年に、

みのりは肩を竦めながら苦笑する。


 誘拐されたと言う女性を一番よく知っているのは太一だ。

だからこそ率先と助けに行きたいのだろう。

しかし、敵が潜伏している可能性がある以上

太一を外へ出すことはできない。

みのりは心を鬼にして少年の説得を試みた。










一つ前に戻る   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析