Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
A
「あんたに言われなくてもわかってるわよ」
振り返り、顔をしかめ涼介を見る。
どうせ彼のことだから言い返してくるのだろう。
(受けて立ってやる。今度こそ言い負かしてやるんだから)
だが、涼介は意気込むこちらの予想を裏切り、
傷ついたような表情で視線を逸らした。
「そりゃそうだろうけどさ……」
(え? ちょっと何よ。なんでそこで言い返してこないのよ!)
これでは自分が他人の親切も受け入れない
可愛い気のない女みたいではないか。
みのりは涼介からの文句を引き出そうと、
再び悪態をつこうとする。
しかし、上手い言葉が見つからない。
早く何か言わなくては、と焦れば焦るほど頭は真っ白になり
口の開閉を繰り返した。
「ぼくも行くー」
涼介との間に重苦しい空気が流れる中。
それを断ち切るかのように太一が勢いよく挙手をしてきた。
期待を込めた眼差しを向けてくる少年に、
みのりは肩を竦めながら苦笑する。
誘拐されたと言う女性を一番よく知っているのは太一だ。
だからこそ率先と助けに行きたいのだろう。
しかし、敵が潜伏している可能性がある以上
太一を外へ出すことはできない。
みのりは心を鬼にして少年の説得を試みた。
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