Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
H
狸に攻撃されそれどころではないというのに、
みのりは車の中にいる太一たちのことが気になって仕方がなかった。
首を傾けながら窺っていると、山波が満面の笑みを少年へ送る。
そして颯爽と車を降りてしまった。
(え? 何、どういうこと?
なんで山波さんまでこっちへ向かってるの?)
大人2人から置いてかれた太一の手が寂しげに外へ伸びている。
(何考えているのかしら、あの人たち……)
なんのために彼らを残したのか
まったくわかっていなかったということだろう。
みのりはがっくりと肩を落とした。
「梅宮さん! 助けに来たわよ!」
みのりは得意気な顔で見てくる現国教諭へ文句を言おうと口を開く。
しかし、3人目の敵が彼女の前へ立ちはだかり言うことができなかった。
代わりに口を開いたのは、
狸の攻撃から身を挺して守ってくれている涼介だった。
「な、なんで彼女でてきたんだ?!」
「知らないわよ。でも一応先生だからじゃないの?」
勝手な行動を取る麻里に対して怒りを涼介へとぶつける。
だが言った後ですぐに我に返った。
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