Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
I@
「あー、そのことでしたらお気になさらず……
と申し上げたいのですが、
たしかに少々大人げなかったですね山波さん」
『お恥ずかしい限りで……』
碧の言葉に、涼介のことが頭に浮かぶ。
そのせいで恐縮した山波の声は耳を素通りしていった。
(大人げないのはあいつのほうよ!
なんでああいう言い方しかできないのかしら!)
だいたい勝手なことをばかりして困らせているのは涼介のほうだ。
(そりゃあ、私のことを守ってくれるためだったんだろうけど……
でも私には身を守る術を知っている碧や紅がいるのよ!)
涼介とて多少の心得はあるだろうが、
それだって自分と大差ないくらいの知識だろう。
プロである側近たちに比べたら心得のない人間と同じはずだ。
(それなのに勝手して!
だいたいその前まで怒らせるような嫌みばかりを言ってたくせに
守るってなんなのよ!)
感謝していいのか、勝手なことをするなと
怒ったほうがいいのかわからないではないか。
(優しくするなら最初っから優しくしてくれれば私だって、
素直になれたかもしれないのに……あー!!
なんで私が涼介のことでこんな悩まなきゃいけないのよ!)
みのりは頭を掻き毟りたい衝動に駆られた。
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