Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
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待ち合わせの時間より少し早めに宿を出る。
目と鼻の先ほどの距離にある目的地へ碧と紅を従えて歩くこと数分。
眼前に大きなガラス張りの建物が見えてきた。
「長老たちの面会が叶って良かったわよね。
やっぱり同じ獣人からのお願いだから許してくださったのかしら?」
「? なんのことですか、お嬢様」
碧が微かに眼を細め、見てくる。
本気で理解していない側近の様子に戸惑いながらも、話を続けた。
「え、だから長老さんが人間と関わりたくないって
山波さんは知っていたから案内を断ろうとしていたんでしょう?
だから芽衣子さんと飛田さんに頼んで……」
「もしかして昨日の電話のことですか?
でしたらあれは山波さんが長老の連絡先を
知らなかっただけですよ?」
あっけらかんと言われた言葉に目を見開く。
悪いほうに考えすぎてしまっていたようだ。
「なんだ。そうだったの……私の早合点だったのね」
「そのようですね」
皮肉気にくすりと笑う碧を見て苛立ちつつも、
ホッと胸をなでおろした。
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