Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
ID
軽口を装っているらしい高松の言葉を碧が追及する。
「ご当主様は多忙な方ですからね。
それよりも君が現長と知り合いだったなんて初耳ですね。
いったいどこで知り合ったんですか?」
意味ありげな視線を向けてくる碧へ高松が笑顔を向ける。
「昨日この麻里君が危ないところを助けてくれてね。それでしばらく一緒にいたんだ」
珍しくなんの含みもなく事実を告げる高松を、碧がじっと見据える。
だが、碧が何かを言うより先に、みのりがい声をあげた。
「え! それじゃあのあと先生たちは、その長に助けてもらったってことですか?」
驚いた様子で見つめてくるみのりに、麻里は首肯する。
「ええ。2度も助けてもらいました」
実は何回も言っているのだが、みのりは聞いていなかったらしい。
(まあ、この子が気にするようなことでもなかったしね)
直接黄金梅に関係することでもなかったから聞き流していたのだろう。
等身大の少女らしい一面を垣間見た気がしてくすりとしていると、
みのりが顎に手をあて深刻そうな声をあげる。
「2度もですか……。碧の話とは全くの別人みたいですね」
難しい顔で首をかしげるみのりの言葉に、麻里は目を瞬いた。
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