Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




IE




 いったいどんな人物だと思っていただろう。

尋ねようとすると、突如山波の声が飛んできた。

「みのり様! アイツを信用しちゃなりませんぞ!」

 吼える山波へ麻里は反射的に否定する。

「そんなことありません!」

 声を大にして言い切ると、紅がぽそりと呟いた。

「悪い人、善い人、獣人にも人間にもいっぱいいる」

 紅の言葉に麻里は深く頷く。

(そうよ! なんだって満さんばかりそんなに悪く言うの!)

 今一度山波へ文句を言おうと口を開きかけるが、高松に止められた。

「まあ、用心はしておいたほうがいいかもしれないよ、麻里君」

 やんわりと非難され、麻里は片眉をあげる。

(室長だって満さんに助けてもらったはずなのに……)

 むっとしたが、今は言うな、と手で制され渋々口を噤むと、

嬉しげな碧の声がした。

「さすがは僕の紅! とてもいいことを言いました。

そうですよ。お嬢様、紅の言う通りですよ!!」

 諸手をあげて妹を称賛する碧に向かい、高松がかぶりを振って見せる。

「相変わらず腐れているな、君ってやつは」

 呆れたような溜め息を吐く高松へ碧が笑顔で応じた。

「君のような人間に理解してもらおうだなんて思っていないので安心してください」

 張りついたような碧の笑みを見て、高松が無言で肩を竦ませる。

(なんだってこの二人はいちいちこんな感じなのかしら?)

 昔からの知り合いなのかもしれないが、

都の人間であるはずの高松と碧がいつ知り合ったのだろう。

知らないことが多すぎる。

麻里は小さく吐息して、地団太を踏みたい衝動をどうにか抑えた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む