Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




IF




「ちょっとどうしたのよ碧?

いつもと様子が違うようだけど大丈夫?」


 冷静沈着を絵に描いたような碧らしからぬ姿に、

みのりは目を瞠る。


 どこか具合でも悪いのだろうか。心配になりそっと覗き見る。

しかし、普段と変わらぬ笑みを向けられあっさりと

躱されてしまった。


「問題ありませんよ」

(……問題があるようにしか見えないから言ってるんじゃない!)


 周囲に人がいるからなのか、それとも年上の男として矜持なのか。

本音を語ろうとしない側近に胡乱な目を向ける。

だが、それで怯むような男ではなかった。

こちらの眼差しなど気にした様子もなく、

この話題は終わったと言わんばかりに視線を外される。


「それよりも……飛田さん、あとどのくらいでつきますか?」

「今ちょうど獣人の居住区に入ったところです。

もうあと6分くらいで着きますよ」


 飛田が前方を見ながらバックミラー越しに碧へ話しかける。

こちらの会話を聞いていたのだろう。

窺うように忙しなく視線を動かしていた。










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