Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
IG
「そうですか。やはりこの手の車種は山道にも最適なんですね」
飛田の気遣いなど気にすることもなく、碧は話を続ける。
このままうやむやにするつもりなのだろう。
(……仕方ないわね)
しつこく言及したところで、
碧が素直に本心を口にするとは思えない。
みのりは諦めて、浮かしていた身を背もたれへ預けた。
「ちょっと狭い道が怖いですけどね」
「たしかに住宅密集地だとこの手の車は危険すね」
「ええ」
碧と飛田の会話だけが車内に広がる。
みのりは窓から流れる木々を眺めながら彼らの会話へ加わった。
「乗り降りがちょっと大変だけど、
目線が高い分車内から見える景色が綺麗だから私は好きよ」
普段乗っている乗用車と比べ、随分と見晴らしがいい。
住宅街などには不向きかもしれないが、
自然溢れる場所には最高と言えるだろう。
(実家の車もこういうのにすればいいのに)
山の上にある家を思い出しながら青々とした若芽を見ていると、
助手席に座っている芽衣子が前方を指差した。
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