Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
G
「今はちーっと寒いけんど、あそこは夏だったら最高の避暑地だべ」
にかっと笑う野伏間老人に碧が唸る。
「そのような神社があるのですね。
ですが、すでに行かれた神社ですから今回は関係のない場所のようですね」
冷静に結論を述べる碧の言葉を無視して、高松が微笑みかけてくる。
「僕らも行ってみようか、麻里君?」
目くばせ付きで問われ、麻里は頷いた。
「あ、はい。じゃあ、あとで満さんに案内してもらいましょう」
答えた途端、高松が無言で渋面を作る。
何かマズイことでも言ったのだろうか。
訳がわからず戸惑っていると、麗夫人が着物の裾を口へあてた。
「あらあら、お嬢さんったら悪い子ね。ふふふ。でも軍配は満にあるのかしら?」
いたずらっぽい瞳で見つめられ、麻里はきょとんとする。
「え? は?」
どういう意味だろう。
どう答えるべきか苦慮していると、先に高松が口を開いた。
「いえいえ、まだまだわかりませんよ」
飄々とした口調で答える高松を尻目に、朔太郎氏が遠い目をする。
「うちのバカ孫がのう……わしも年をとったわけだ」
「みんな勝手なことを……」
しみじみと告げる朔太郎氏を前に、高松が苦々しい口調で吐息した。
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