Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




G




「今はちーっと寒いけんど、あそこは夏だったら最高の避暑地だべ」

 にかっと笑う野伏間老人に碧が唸る。

「そのような神社があるのですね。

ですが、すでに行かれた神社ですから今回は関係のない場所のようですね」

 冷静に結論を述べる碧の言葉を無視して、高松が微笑みかけてくる。 

「僕らも行ってみようか、麻里君?」

 目くばせ付きで問われ、麻里は頷いた。

「あ、はい。じゃあ、あとで満さんに案内してもらいましょう」

 答えた途端、高松が無言で渋面を作る。

何かマズイことでも言ったのだろうか。

訳がわからず戸惑っていると、麗夫人が着物の裾を口へあてた。

「あらあら、お嬢さんったら悪い子ね。ふふふ。でも軍配は満にあるのかしら?」

 いたずらっぽい瞳で見つめられ、麻里はきょとんとする。

「え? は?」

 どういう意味だろう。

どう答えるべきか苦慮していると、先に高松が口を開いた。

「いえいえ、まだまだわかりませんよ」

 飄々とした口調で答える高松を尻目に、朔太郎氏が遠い目をする。

「うちのバカ孫がのう……わしも年をとったわけだ」

「みんな勝手なことを……」

 しみじみと告げる朔太郎氏を前に、高松が苦々しい口調で吐息した。










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