Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
I
「獣人になる前?」
「ああ、言い伝えではわしのご先祖さんが一族同士の戦いにやぶれ
橋の上で横たわっていたところへ、
八蜘蛛神社へ修験した帰りの梅田のみ様に命を救われたんだそうだ」
麗の話を引き継ぐ形で朔太郎が入ってくる。
「そんなことが……」
「梅田のみ?」
感心したように呟く麻里の隣で高松が首をひねっていた。
黄梅の人間ではないのだから知らないのも当然だろう。
『梅田のみ』は雪姫の側近だったと言われている人物だ。
現に鞄の中で眠っている雪姫も、
『梅田のみ』の名を口にしていたから実在していた人物なのだろう。
彼女は今も生き続けていると言われている。
と言ってもさすがに本人が生きているわけではない。
初代『梅田のみ』が亡くなったあと、
一族の娘がその名を受け継いでいるらしい。
(本家の人間である私ですら当代の『梅田のみ』に
会ったことがないんだから、本当にいるのか眉唾物よね)
それにしても、梅宮にもっとも近しい存在と言われている
『梅田のみ』が獣人たちの言い伝えに登場するとは。
みのりは胸の内で驚きつつも顔には出さずに碧を見た。
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