Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
IC
長老たちの話は続く。麻里は食い入るように耳を傾けた。
「人間の姿を得た朔ちゃんのご先祖さんは
梅田のみ様の用心棒のようにいつもそばにいるようになったんだべ」
「満さんみたい……」
吐息とともに呟くと、麗夫人が頬に手をあてる。
「きっとそれでほだされちゃったのね。梅田のみ様も」
「そりゃそうだべ。
わしらの一族は番を見つけたら何がなんでも添い遂げるんだからのー」
楽しげな麗夫人の言葉へ朔太郎氏が深く頷く。
そこへ、黙って聞いていた高松が口を開いた。
「そんなもんですかね」
少し嫌味な物言いに腹が立つが、放っておくと、そのさらに隣で山波が唸った。
「まあ、そんなもんだろうなあ」
実感の籠ったその声音に、麻里は首をかしげる。
(山波さんも同じような恋愛をしたことがあるのかしら?)
だったら娘たちのことも認めてあげればいいものを。
呆れ半分でぼんやりと考えていると、前方から声がかかった。
「ふふふ。お嬢さんも覚悟したほうがいいわよ」
物言いたげな視線を投げかけられ、麻里は瞳を瞬く。
(私? 私が、何?)
覚悟とは、誰に対する覚悟だろうか。
(まだそんな相手もいないのに……)
ちらりと浮かんだ満の顔を振り払うため、麻里はとにかく首を横に振った。
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