Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
IF
「そういえば最近その神社の名前を聞いたばかりでしたね。さすがは僕の紅だ」
とろけそうな微笑みを紅へ向ける碧に、麻里は首をかしげる。
(あれ? 何かちょっと変わってる……のかしら?)
兄妹仲がいいとは思っていたが、少し過剰ではないだろうか。
(まあ、だた単に一人っ子の僻みってやつなのかもしれないけど)
頬を掻いていると、隣で高松が声をあげた。
「相変わらず腐ってるな、君ってやつは」
厭味ったらしい口調で告げる高松に対し、山波が同意する。
「確かに……」
苦々しく頷く山波をよそに、碧が不敵に笑う。
「はっきりと告げず相手にされない君に言われても説得力がありませんよ」
つらっとした物言いに高松も淡々とした口調で応じた。
「物事は急いでもどうしようもないからね」
「物はいいようですね」
皮肉気に含み笑う碧に対し、悟が肩を竦める。
「まあね」
鼻を鳴らす高松を見て、麻里は話についていけず眉根を寄せた。
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