Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
A
(やだ小越先生ったら、獣人に見つかってしまったのかしら)
獣人たちに追い詰められる麻里を想像し、血の気がひく。
(早く救出しなくちゃ)
しかし、その前にどんな相手か確かめる必要がある。
人間よりも聡い獣人には無意味かもしれない。
だが、やらないよりはいいだろう。
みのりは気配を悟られないようそっと近づいた。
「くそっ! 長老たちめ人間の言いなりになりやがって……」
慎重に進んだ先にいたのは麻里ではなく、先に出て行った満だった。
八つ当たりするかのように進行を邪魔する草を刈っている。
(小越先生じゃなかったのね。良かった)
最悪の事態にならず、胸をなでおろす。
(あの人に見つからないように早いところ先生を
見つけ出さなくっちゃ!)
しかし、来た道へ戻ろうとしたときだ。
ふいに満の動きが止まる。
みのりは見つかったのかと思い、息を飲んだ。
「チッ、あんたか。こんなところまで来てなんのようだ?」
背中を向けたまま発する満に安堵しつつも、
みのりは彼の前に現れた人物に目を瞠った。
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