Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
C
(計画? 弟って涼介のことよね? どういうこと?)
市長と獣人長である満が裏で手を組んでいるということだろうか。
みのりは寝耳に水の状況に首をかしげた。
「それはどっちの弟だい?
まあ、一番下のほうなら少し手間取ってはいるが
今のところ素直に従っているよ」
肩を竦めて見せながら応える市長に、
涼介が三人兄弟の末っ子だということを思い出す。
たしか次男の雅仲は市長に代わり理事会に席を置いていたはずだ。
若いながらも中々優秀な人のようで、
いつだったか当主である母と父の会話にも上っていた。
「ハッ、今、長老たちのところに来ている一行にはいねーようだけど、
せいぜい寝首をかかれねーようにな」
「長老に会うようなバカな真似はしないさ」
満が辛辣な揶揄に、市長は臆することなく返答する。
(なにこれ、もしかして私たち長と市長の手のひらで
踊らされていたってこと?)
始めから何か裏があると感づいてはいたが、
まさか人間嫌いで有名な満と手を組んでいるとは思ってもみなかった。
(涼介はこのこと知ってるのかしら?
あの男の弟なんだから知らないはずないわね……)
もとより信用していたわけではない。
それなのにどこから裏切られたような気分になり、胸が苦しくなった。
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